FINAL DAY OF GRAND SUMO TOURNAMENT

正代勝ちました

大相撲秋場所の千秋楽に行ってきました。ちょうど1年前、生まれて初めて大相撲を国技館で見たのですが、その時は5日目で、席も椅子席の一番後ろでした。今場所は新型コロナウイルスと両横綱休場のダブルパンチで客入りがかなり厳しかったのでしょう。私のような何のコネもない1ファンでも余裕で千秋楽の升席のチケットが買えるという異例の場所だったようです。

相撲との出会い

私は極度の運動音痴でスポーツ全般ダメ、スポーツ観戦も苦手なのですが、唯一相撲観戦だけは別です(相撲が“スポーツ”なのかという議論は別にして…)。きっかけは、中学高校と学校生活にうまく馴染めず、特に高校時代は部活もまともにせず授業が終わるや否や速攻で下校、帰宅後は大相撲中継を見るぐらいしかすることがなかったことではないかと思います。人生のいついかなる時も変わらず1年に6回2週間、夕方のNHKで中継される光景、そういう安心感が相撲にはあるんですかね・・・。

20年の時を経て初観戦

しかし学生でもなければ平日の夕方に相撲中継を見るなどほぼ不可能。20代以降はそれほど熱心に相撲を見ることもなくなり、力士の名前にも疎くなっていきました。上京してからも、いつか国技館で大相撲観戦したいとは思いつつ、なんとなく保留にしたまま年月が過ぎていきました。きっかけを与えてくれたのは夫で、万事妄想を膨らませるだけ膨らませて実行しないクセのある私に、「相撲が好きなら国技館に見に行けばいいじゃない」と背中を押してくれたことです。それでようやく恐る恐るチケットを購入し、憧れの国技館に足を踏み入れることになりました。一番遠い椅子席からでは大きな力士たちも米粒ほどにしか見えませんでしたが、大盛り上がりの結びの一番で横綱の鶴竜が負け、会場を舞う座布団を見た時は本当に感動しました。

そして憧れの千秋楽へ

生観戦に味を占めた私はその翌場所である今年の初場所も再度観戦しようと試みました。ところがチケットの抽選に外れ、当日券を求めて朝の7時前に国技館に行っても整理券を配り終えたところで買えず、3月の大阪場所はまたもチケットの抽選に外れネットオークションで入札までして買い求めたものの結局は無観客試合に。5月場所は中止、7月は職場への影響なども考えて自粛し、9月になってようやくまた観戦したいという気持ちが戻ってきました。千秋楽といえば相撲ファンの憧れ。一生に一度は見てみたいけど、一般人が見られるものではないと思っていたので、いとも簡単にチケットが取れた時には「ああ、もうお迎えなのかもな」と大げさに感じ入ったものです。相撲雑誌を買い、秋場所が始まってからは今までで一番真剣に大相撲中継を見ました。何気なく過ごしていると2週間などあっという間ですが、力士とともに15日間を戦うつもりで観戦していると、途方もなく長く感じられます。そしてここ最近の定番である「横綱が休場するともはや番付に関係なく誰が優勝するかわからない」カオスが繰り広げられることになりました。

静かな国技館

去年は10時に開場していましたが、今場所は13時から。開場の15分前くらいに両国に着き、国技館前で係員の指示に従い、観客同士距離をとって並び開場を待ちます。待っている間に検温。13時が過ぎて入場すると、アルコール除菌シートと感染対策の注意書きがプリントされた紙が置いてあるのでもらいます。お土産を予約していたので引換所に赴くも、縮小営業でかなり寂しい様子。食べ物は名物の焼き鳥だけで、だめではないが“できるだけ”観戦中に食べないでと注意書きに書いてあります。地下大広間のちゃんこもなし、入り待ちも禁止。前回来た時は外国人も含めた団体客がたくさんいましたが、そういう人も見受けられません。ただただ黙って相撲を見る。今回は升席の一番安い席でしたが、十分に力士の顔が見えるし、普段は4人で座る升席を独り占めなのでとても贅沢です。というか、普段はここに4人って相当窮屈で、他人同士だとかなり嫌なのでは・・・ということが想像されました。グッズと飲み物を買ったらあとはひたすら相撲観戦です。

なんだか寂しい土産引換所

大関に一番近い男 正代 VS ニュースター 翔猿

こんなことを言ってしまうとアレなんですが、相撲はテレビで見た方がよくわかります。生は解説もリプレイもありません。スポーツ観戦ってそういうものなのかもしれませんが・・・。前回はラジオの貸し出しがありましたが、今場所はそれもなくなっていました。14日間のテレビ観戦で培った知識をフル稼働して土俵を見つめます。あとは前後の席の人が私なんかよりもずっと相撲に詳しい人たちだったのでその人たちの会話を解説代わりに聞いていました。今場所は十両の取組も見ていたので、いよいよ幕内の土俵入りが始まった時には”天上人”たちの取組だ・・・!と喜びよりも緊張が勝りました。私の贔屓である豊昇龍(元横綱朝青龍の甥)が勝ち越し、隆の勝(別名おにぎり君)が10勝を決め、いよいよ千秋楽の目玉である正代と翔猿の2敗同士の一番になりました。正代はあり余る相撲の才能に恵まれながら本人にあまり覇気がない(ように見える)のが魅力で、今年は何度も優勝争いに絡みながら最後の最後に気持ちがプツンと切れてしまっているようでしたが、今場所はやる気スイッチが入ったようでした。前日に正代応援ボードを作ったりして、私も初優勝に向けて気合を入れていたので、正代が勝って優勝を決めた時は本当にうれしかった。あまり相撲に興味がない夫が横で「正代、危なかったね」と言いましたが、緊張し過ぎていたせいか、家に帰ってテレビで見るまであそこまで翔猿に攻め込まれていたことに気づいていませんでした。何しろ勝負はあっという間に決まるのです。

こういうのを作って応援してました

どっと疲れる

テレビ中継では解説やインタビューで優勝を味わっている間、国技館では国歌斉唱、各国の駐日大使・新聞社・知事からの表彰や行司を胴上げする『神送り』の儀式なんかが行われています。緊張から解き放たれ放心しながらも一通り見て、国技館を後にしました。最後は国技館前でお迎えの車に乗り込む荒磯親方(元横綱稀勢の里)まで見ることができました。このまま車に轢かれてあの世行きかな?と思いましたがどうやらまだ生きています。正代は優勝どころか大関昇進まで決めてしまいましたが、私は3日経った今も余韻のせいなのかぼやーっとしてます。こんなハードなことを年に6回、さらに普段は巡業までこなしているのですから、とにかく力士は偉いです。

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