
前回のブログで書いた「くまパネル」ですが、無事に大阪のギャラリー魔法の生活さんに届き、記念すべき移転オープニング『勝手にしやがれ展』で展示され、期間中多くの方に見ていただけたようです。在廊はしていないのですが、SNSで流れてくる写真を見て、「元気でやっているようだな」と嬉しく思っていました。くまパネル返送問題(そのままのサイズでは普通の宅急便で送れない、家財便で送るとものすごく高い)についてはまだ解決しておらず、とりあえず次の展示(ヨモスエ芸術祭10/16~)でも引き続き置いていただけるということで、「保留」となっています。
今年の目標として、自分にとっては最長の5Pの漫画を描きたいというのがあったのですが、気がつけばもう9月、うかうかしていると今年が終わってしまうと思い、とりあえず何か描いてみることにしました。ちなみに今までで最長はかゆみと戦っていた時に描いた3P漫画です。それとともに、SNSで作品を募集している「沢庵漫画賞」に前から応募してみたいと思っていたところ、そういえば締め切りはいつだったっけと思って検索してみるとなんと5日後でした。しかし、5日後だからこそ描けるかもしれないと思い、やってみることにしました。
【1日目】ネーム作り
漫画を描くことを思い立った日の夜、散歩コースにあるコメダ珈琲に向かい、真っ白のコピー用紙を目の前に考え始めました。しばらく悩んだ後にまず頭に浮かんだのは、前日にたまたま渋谷センター街を歩いていた時に見かけたデカいねずみです。ねずみからの連想で、テレビで見た阪神タイガース優勝記念セールで阪神百貨店に並んでいた、全身をタイガースグッズで過剰にデコレーションし、頭に虎のぬいぐるみを乗せた、歯が2本しかない強烈な阪神ファンの記憶がよみがえりました。その2つが結びつき、渋谷センター街でタイガースファンのねずみに声をかけられ、ねずみの頼みで阪神百貨店のセールに行くことになる話が出来上がりました。5Pが目標でしたが、描いてみると6Pになりました。そこまでは割とすぐに完成しましたが、問題はこれを「きれいな絵にする」作業です。
漫画のネーム
【2日目】下書きを描く
ずっと前に「漫画を描きたいブーム」が起きた時に買っていた漫画原稿用ケント紙に下書きを描き始めました。1コマ1コマを丁寧に描こうとすると恐ろしく時間がかかり、己の絵の下手さに直面し何度も何度も描き直すことになって全然進まずヘコみます。女の子の服を描くのが楽(考えなくていい)という理由でセーラー服にしましたが、スカートのプリーツを描くのが私には異常に難しく、やめておけばよかったと後悔しつつも何とかそれらしきものを描きました。この日は東京で記録的なゲリラ豪雨が降っていましたが、全くそのことに意識が向かないほど格闘していました。
【3日目】下書きの続きとペン入れ

絵が下手すぎて1日で下書きが終わらず、翌日も続きを描く必要があったのですが、その日は美容院を予約していました。カットとカラーで2時間、行き帰りの往復で約1時間、合計3時間のロスとなるとかなり痛いです。予約を変更して漫画ができてから行けばよかったのですが、すでに予約を変更してその日にしてしまったこともあり、もう1度変更するのも億劫なので、美容院の予約時間のギリギリまで近くで漫画を描くことにしました。気分を盛り上げようとビルの11階にあるスタバの窓際の席でイキって描いてみたりしました。

美容院の帰りにもう1度渋谷センター街に寄り、私がねずみを発見し、漫画では女の子がねずみに声かけられた場所を資料用に撮影して帰りました。夜に下書きを完成させ、今回は時間がないので漫画家気分を味わえるGペンなどのつけペンではなく、ピグマのミリペンでペン入れしました。
ペン入れした漫画
【4日目】デジタル処理
ペン入れを終え、消しゴムをかけました。本当はすべての作業をアナログで完結したいところですが、もう時間がないのでペン入れしたものをスキャンし、コマにセリフを入れたりベタ塗やトーンを貼る作業はパソコン上で行うことにしました。これで終わりが近づいたと思いきや、いくらデジタルとはいえ、やはり細かいところを塗ったり修正したりスクリーントーンを入れたりするのに地道な作業が必要になってきます。まだ終わりは見えません。

【5日目】仕上げとXのアカウント作り
漫画賞の締め切りは3連休の最終日で、休みの3日間に集中すれば間に合いそうだったのですが、最終日は調子の悪い義母を見舞うという用事があったため、なんとかその前に仕上げる必要がありました。大好きな大相撲の秋場所初日にテレビ中継も見ず、ひたすらにベタ塗り、トーン処理に励みました。そして地味に重要なのが、Xのアカウントを作ることでした。私は自分のイラストなどをXで発信していくのが嫌になり、アカウントを削除してしまっていたのですが、沢庵漫画賞はXでの投稿が必要ということで、急遽応募用アカウントを作成しました。

終わらね~終わらね~と思いながら作業を続け、ついに締切日の朝の4時ぐらいに描き終えました。
応募完了
少し寝てから、朝1番に画像をXで投稿、ハッシュタグに#沢庵漫画賞を入れ、これで応募が完了しました。大変でしたが、やはり締め切りがあったからこそ一気に描き切れたと思います。今年の目標である5Pの漫画を描くことと沢庵漫画賞に応募することの両方を達成することができました。
沢庵漫画賞は私なんかが言ってしまうのも何ですが、「最もハードルが低い漫画賞」と思っておりまして、オリジナルの作品であればページ数は問われないので、極端に言えば1コマ漫画でもいいわけです。この自由なところが応募する背中を押してくれました。主催者のタクアンさんが投稿された全作品に丁寧にコメントしてくださるので、漫画を描いてみたいけど、発表するのはハードルが高いと思われる方も挑戦してみると楽しいかもしれません。
描いている間はつらいつらいつらいとしか思わないのですが、出来上がると達成感があり、また漫画のフォーマットにすることで多くの方に見ていただけるということもあって嬉しいので、今度は10Pの漫画に挑戦したいと思っています。
できた漫画
(タクアンさんの講評→https://x.com/takuanmanga_sho/status/1967549171273285645)