巨大くまパネルを作りたい

くまパネルを近所の公園に置いてみました

8月も終わりに近づいていますが、「暑い」という言葉しか出てこない毎日です。でも暑さに負けたくない。無理矢理やる気を奮い立たせています。

そんな8月のある日、いつもお世話になっているgallery魔法の生活さんから出展のお誘いがありました。現在の所在地である大阪市此花区から東大阪市へギャラリーが引越して、移転後初めて実施する展示で(「勝手にしやがれ展」8/28~)テーマ、サイズ、量すべて自由ということでした。私はとっさに「巨大くまパネル」を作って出してみたいと思い、オーナーにその旨確認。「10mの絵を持ってくる人もいるのでOK」とのことでした。

というわけで、そこから私の巨大パネル作りとの格闘が始まりました。人はだれしも一度は「巨大パネルを作ってみたい」と思ったりすることがあると思います。そんな方に何かの参考になれば幸いです。

ネットで「等身大パネル・自作」などで検索すると、大体「推し活」の一環として、推しの等身大パネルを作る方法が出てきます。そういうところで紹介されているのは、推しの画像を専用のスマホアプリでコンビニプリントできるサイズに分割し、プリントした紙をのりで段ボールやスチレンボードの上で貼り合わせ、シルエットに沿ってカットするというものです。あとは等身大パネルを作ってくれる業者のサイトもたくさんあるので、画像データを納品すればきれいにカットして配送までやってくれます。ただ、やはりかなりコストがかかるので(私の作りたいサイズだとざっくり2万円~)、自作の方が経済的かと思い、材料を自分で買って作ってみることにしました。コストの面からいえば、業者に頼むのが一番安上がりであることが後になってわかるのですが…。大きさは実際のヒグマをイメージして「2mぐらいのパネルを作る」ことを目標にしました。

①材料を集める

まずは新宿にある画材屋の「世界堂」に行って、何が必要そうか見て回ることにしました。等身大ということだと180cm×90cmのスチレンボードがお店に置いてある最大の大きさで一番理想に近かったですが、車もないのに電車やバスに乗せて持って帰ることは不可能に思えたので、とりあえずその半分のサイズを2枚買って、自分で家で貼り合わせることにしました。作り終えてから気がついたのですが、スチレンボードはもとから前後に上質紙が貼ってあるタイプで直接絵を描くことができたのに、スチレンボードに貼る用にわざわざA1サイズの紙も2枚買いました。

細長い

家でスチレンボード2枚を貼り合わせてみると、なんだかとても…細長いです。くまを描くには横幅が足りないことに気がつき、もう2枚追加で購入することにしました。夫に「いきなりデカいのを描くんじゃなくて、まず4分の1サイズで描いてみたら?」ともっともなことを言われたので、プラス1枚で合計3枚追加購入することにしました。あとはくまの色塗用の茶色いアクリル絵の具と広い面積を塗る用のブラシ、線画用の太い黒ペン、紙を貼る用の両面テープ、パネルを立たせる用の紙製スタンドとどんどん買うものが出てきます。そのうち勢いもついてきて、便利そうだと変な形のハサミまで買ってしまったり…。

右のハサミは大して役に立たなかった
絵の具よりも筆が高い

②4分の1サイズから作ってみる

エナドリで気合いを入れる

目標の4分の1サイズのA1でも今まで描いた中では最も大きいサイズのくまということで、大きな白紙を前にプレッシャーを強く感じ、普段は飲まないエナジードリンクを注入して気合を入れました。

描くものとしては「いつものくま」なので、覚悟さえ決まれば割とスラスラ描けました。くまの毛の茶色を塗り終えたところで、手の裏と口の中の色の絵の具がないことに気がつき、また世界堂へ。色塗りを終えてくまの形に沿ってカッターで切り、自立させるためのパネルスタンドを付けたら…できた!90cm×70cmサイズのくまの完成です。正直これで終わりにすれば楽なのですが、目標はあくまで巨大くま、勢いのままにこれの4倍サイズのくまに取り組みます。

③巨大くまを描く

さすがにぬりかべサイズとなると畳の上に置いて描くスペースがないので立ったまま描くことに。いくらシンプルなくまでも、立って描くのは初めてなので全体のバランスを取るのが難しい。ただ「大きい絵を描く」ということにとてつもない非日常感があり、作業自体は楽しい。色塗りがどうにもうまくいかなかったけれども、とりあえずは完成しました。高さ2mとはいかず、結局170cmの座った“招きぐま”です。

で、これどうやって送るんだ?

④梱包・発送する

くまの手の裏と口の色の絵の具を買った時に、梱包用の段ボールシートも2枚購入していました。スチレンボードと同じ180cm×90cmサイズなので、運ぶためにレジで半分に折ってもらおうかとかいろいろ考えていたら、レジの店員さんがこれを持って待っている私を確認するや否や「こちら失礼します」と言って私の持っている段ボールシートを脇に持って行き、ビニール袋を見事な手さばきでかぶせてテープ留めし、持ち手をつけて「お店の中は立てて持って、お店を出たらサーフボードのように横に向けて歩いてください」とアドバイスした上で会計してくれました。私の家へはバスで帰るのが一番都合がいいのですが、さすがにこれでバスは乗れないだろうと思い、なんとか電車で運ぼうとこれを持って電車に乗り込み、幸い空いていたためドアの近くに立てかけて、電車を出た後はそれなりの距離を炎天下の中持って帰りました。デカいけれどもとても軽いのでまだ助かりました。ところが…完成したくまを重ねると微妙にはみ出ている。あと2枚買う必要があることがわかり、愕然としました。その日はすでに閉店時間だったので翌日改めて世界堂に行くことに。家と世界堂の無限ループが終わりません。

はみ出とる…

おそらく5度目ぐらいの世界堂通いでさらに段ボールシートを2枚購入し、再び電車に積んで、36度の中を汗をかきかき家に運びました。さぁこれで梱包・発送して終わりだ!と思っていたところ、私がバカすぎるのですが、作品のサイズをちゃんと測ってなかったんですね。なんとなく佐川急便の飛脚ラージサイズ宅急便(3辺合計が260cm以内)でいけるかと思っていたら、でかい方のくまが170cm×110cmあり、余裕でサイズオーバーなのでした。くまを分割して送ることも考えましたが、先方に組み立て作業をお願いすることになってしまうし、継ぎ目もがっつり補強してしまっているしで、できるだけそのままの形で送りたい。となるともう「家具」として引越しのジャンルの配送を手配するしかないことがわかりました。

あまりの高さに画面を写真に撮りました

「家財おまかせ便」というサービスで見積もりをとると、なんと13,280円…!心が折れる値段です。しかし、でかいくまを送ってこそ「頭のおかしさを競う」アート作品の展示では重要かと思い、他社と合い見積もりを取る気力も残っておらずこの値段で依頼することを決めました。ほとんど新幹線で大阪まで自力で持っていく値段です(これを持って新幹線には乗れないとはいえ)。翌日に作品の到着締め切りが迫っていたので、小さい方のくまだけでも間に合わせようと先に普通の宅急便で送り、さらにプラスの送料がかかることに…。

⑤家財便で発送する

公園に持って行って撮影

「家財おまかせ便」だと宅急便ほどこちらの都合よく集荷・配達日時を指定できず、予約していた集荷日(受付の翌々日が最短)の当日朝に電話があり、「今日の13時~15時の間に取りに伺います」と向こうから時間を指定されます。値段が高いだけに梱包もやってくれるというのはありがたいですが、あんなに苦労して運んだ段ボールシートも不要になってしまいました。私は集荷を待っている間、せっかくだからこのでかいくまを屋外で撮影したいと思い、近くの公園に持って行きました。途中、玄関前を掃除していた老婆がこちらを凝視して「クマか」と言うので、「はい、公園で撮影します」というと、何か公園でイベントがあると思ったようで「今日何かあるの?」と聞いてきました。特に何もないと告げると「ごくろうさん」と言われました。全部自分が好きでやっていることとはいえ、確かにごくろうさんです。

14時頃に運送屋さんが2人やってきて、実寸を測り、その場で料金を支払いました。プチプチに包まれたくまは、ようやく私の手を離れ、ギャラリーへと運ばれていきました。

次の問題は展示が終わった時にどうやってギャラリーから返送してもらうかなのですが、それはギャラリーのオーナーさんとこれから相談のため、ひとまず保留です。正直、捨て…いや、燃やすなりして成仏させてほしいところなのですが…。

というわけで巨大くまパネル作りは一応終えました。楽しい反面、お金がかかりすぎるという現実に直面しました。送料以外の世界堂での材料費や往復の交通費も、計算したら怖いので考えないことにしています。

もし移転したgallery魔法の生活に行かれることがありましたら、このでかぐまをご笑覧ください。まだ今日送ったところなので無事に届けられるのかどうかもわかりませんが…。

↓くまパネルはこちら↓

★gallery魔法の生活・瓢箪山移転オープニング★
 『勝手にしやがれ展』
 2025.8.28(木)〜9.15(月)
 休廊最終日以外の月火水
 14:00〜20:00

≪新住所≫
 大阪府東大阪市神田町19-14
 瓢箪山駅6分

↓インスタリンク↓

https://www.instagram.com/p/DNws3At5nW3/?utm_source=ig_web_copy_link&igsh=MzRlODBiNWFlZA==

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