2月。1月はどこに行った。1月は実家に帰省したり、自分の誕生日があったり、イラストの仕事もしたりとそれなりに活動はしていたのだが、なんだか2020年の方向性が見いだせないまま2月に入ってしまった感がある。
先日、イラストを描きながらAmazon Musicのグラミー賞ノミネートのプレイリストをなんとなく聞いていた。その中で思わず作業の手を止めて聞き入ってしまったのがH.E.R.(ハー)の”Hard Place”だ。一聴すると特に何か耳新しさがあるわけではないR&Bなのだが、静けさ、穏やかさの中に驚くほどの感情の熱量が感じられて、一気に引き込まれた。
早速YouTubeでH.E.R.が”Hard Place”を歌うところを見てみた。ウェーブのかかったロングヘアに丸っこい体つき。セクシーさを強調しないスニーカースタイルで、 顔にはサングラス 。抱えるギターはクリスタル。いろいろファニーな要素があってかわいいのに、佇まいはなんとも堂々としていて、歌い始めると途端にその美しい歌声にうっとりしてしまう。落ち着いた曲調に油断していると思いもよらないエモーショナルなギターソロやコーラスが入ってどんどん気持ちが高まってくる。ブラボーだ。
今度は”Hard Place”の歌詞が気になって調べてみた。どんな『困難な場所』なのか気になったのだ。生きる困難を歌った社会的なプロテストソングを予想していたら、直球のラブソングだった。サビで繰り返される”I’m caught between your love and a hard place“は、英語の慣用表現 “between a rock and a hard place” (板挟みになる) に引っ掛けたフレーズのようだ。 『あなたの愛と困難な場所の間で板挟みになる』とはどういうことだろう。
今度は “Hard Place” のミュージックビデオを見てみた。彼氏役の俳優とイチャつくH.E.R.。ミュージックビデオの中ではH.E.R. とともに彼氏も音楽活動をしているのだが、 H.E.R. だけが音楽の才能を認められてどんどん出世していく。最終的に二人は H.E.R. の最高のステージと同時に破綻していくというつらい内容だった。『困難な場所』とはミュージックビデオの中では成功した H.E.R. のキャリアそのものだったのだ。
翻って私の『困難な場所』とはどんな場所だろうか。理解ある夫の全面協力の下で自己実現の半ばである私のキャリアのことだろうか。成功と引き換えに諦めなければならないものとは…?などとぼんやり考えてみるなどした。 H.E.R.の髪型、真似してみたいな。