福岡見どころいろいろ

満喫

あっという間に12月。年の瀬感がいや増す今日この頃です。
先月11月は大相撲九州場所観戦のために福岡市内とさらに北九州にも観光に行き、見どころがありすぎたのでそのことを書いてみようと思います。

【福岡市内 見どころ①】 名作BLの登場人物の名前が地名に

香椎線西戸崎行きだと…!!!
こんなに駅名で感動したことはない

大相撲の九州場所は福岡市の福岡国際センターで行われるのですが、中心街にほど近く、当然ホテルの予約もなかなか取れない、取れても高いということで、少し離れた和白駅近くのホテルを予約しました。この「わじろ」という名前に何か引っかかる…と思いながら香椎線の西戸崎行の電車に乗り込んだ時、頭の中に電気が走りました。遠い昔、まだ私が中学生だったころに友人に借りたBL雑誌に載っていた漫画の登場人物たちの名前がそれぞれ「和白(わじろ)」、「香椎(かしい)」、「西戸崎(さいとざき)」だったのです。

線の細い女性向けBLたちの中で、その漫画が男性作家さんの描いたガチムチ男たちのハードな内容だったこと、「わじろ」という名前の響きが妙に面白くて耳に残っていたこと、友人が描いた和白のイラストが読者投稿のコーナーに採用されたことなどで印象に残っていたのでした。当時は福岡の地名だとは思いもよらず、20数年の時を経たまさかの伏線回収に感動しつつも、その友人とは音信不通になっており、誰にもこの感動を共有できないのでした。そして、改めて読んでみたくなり、ネットで漫画を検索してみるとなんと電子書籍化されていたため、初めて全編通して読みました。香椎をめぐる和白と西戸崎の三角関係…どころか更に男性たちが絡みまくったハードな内容に、これを中学の時に貸してくれた友人よ…と思いましたが…。作家さんのXアカウントも判明し、やはり福岡在住であることもわかりました。気になった方は堀井甚五郎「恋も2度目だぜ」で検索してみてください。

【福岡市内 見どころ②】 市営の船便で力士と会場入り

船で行くと速い
西戸崎の船着き場 ここから博多へ向かう

ホテルのある和白駅から香椎線に乗って終点の西戸崎駅に行くと、市営の渡船が出ていて片道運賃450円で15分ほどで博多に出られるので、それだけでもとても楽しいのですが、なんと西戸崎駅の近くに佐渡ヶ嶽部屋の宿舎があり、部屋の力士たちも船で会場入りするのです…‼私が乗った便には今年の名古屋場所で幕内優勝した琴勝峰関が乗っていました。191㎝の琴勝峰関、近くで見るとやはりデカい…‼すごく集中されている様子でしたが、声をかけると快く握手していただけました。これだけでも九州場所へ来る価値があったというものです。

【福岡市内 見どころ④】 会場の警備態勢がユルく力士との距離が近い

会場に来ました
かなり後ろの椅子席からでもよく見えます

大相撲の本場所は年6回、奇数月に開催され、1月、5月、9月の3回が東京の両国国技館で、あとの3回が地方で行われるのですが、3月は大阪、7月は名古屋、11月が福岡で実施されます。相撲のために建てられている国技館と違い、地方は相撲のための会場ではないので、観客と力士の導線がはっきりと分かれていないところが相撲ファンにとっては魅力です。今年新しくできた名古屋のIGアリーナはまだ行ったことがありませんが、他はすべて行った経験上、九州場所は土地柄なのか警備態勢が緩く、地方場所の中でも最も力士との距離が近いと私は思います。大相撲中継でも力士が出てくる花道奥で観客がウロウロしているのがよく映っていますが、本当にあんな感じでかなり間近に取組直前の気合が入った力士を見ることができます。ただその分、トレードオフというか、自分が集中して取組を見たい時に前の通路を外国人の団体客がひっきりなしに行ったり来たりしても警備の方の注意がなくなかなか集中できませんでした。力士もきっと九州場所は食べ物も美味しくていい反面、取組直前でも観客が周りをウロチョロしていて集中できないと思っているだろうなと想像します。

【北九州市 見どころ①】 ペンネ星人のオブジェが見られる

これが見たかった
控えめなおしり

大相撲を見た後、せっかくなので小倉に移動して(特急で40分ぐらい)宿泊。翌日から北九州も観光することにしました。まず訪れてみたかったのは北九州市役所近くの「中の橋」にある頭がペンネの形をしたオブジェ。マカロニ星人やペンネ人形など様々な呼ばれ方があるようですが、正式名称は「宇宙七曜星の精」だそうです。唐突に頭がペンネの形をしているところがいいなと思います。行った時はこれにばかり気を取られていましたが、写真をよく見るとタイルのモザイクもなかなか凝ってますね。ネットで見かけた小倉名物を生で見られてよかったです。

【北九州市 見どころ②】 工藤会の息吹が感じられる

私は昔のやくざ映画などが好きなため、北九州と聞くとまず「工藤会」の名前が頭に浮かぶのですが、観光中にその気配を感じられると嬉しくなってしまいました。北九州出身の松本清張記念館の真向いに小倉北警察署があり、「五代目工藤會壊滅作戦推進中」の垂れ幕を見た時はテンションが上がりました。また、タクシーに乗った際、運転手のおじさんにそれとなく工藤会のことを聞いてみると、かなり嬉しそうに「最近は大人しくなったもんよ~」と答えた後、聞いてもいないことまでペラペラと話してくれました。タクシーのおじさん曰く「警察が工藤会を徹底的に潰した結果、工藤会の組員が全国に散らばってしまい、全国の警察が『北九に留めておいてくれないと』と困っている」とのことでした。後部座席でシートベルトを締めようとすると、「えっ!シートベルトするの?」と驚かれ、「いいよいいよそんなのしなくて」とまさかの法令違反発言が飛び出したところもならではで楽しかったです。

【北九州市 見どころ③】 たくさんのトイレが見られる

トイレではなく椅子
時代を彩ったトイレたち
歴代音姫は胸熱
ミニチュア便器

北九州で訪れてみたかったTOTO本社併設のTOTOミュージアムにも行けました。入場料無料で充実の「水回りの歴史」を見ることができて大変楽しかったです。時代を彩ったトイレを見ながら当時に思いを馳せられ、老若男女が楽しめるスポットだと思います。グッズ売り場で買ったトイレの形のホワイトチョコ「トイレットショコラ」はお土産として大変喜ばれましたし、自分用にもミニチュア便器を買いました。普通の便器と同じラインで焼かれたものなんだそうで、手に取ると便器は陶器なんだということを実感することができる素晴らしいグッズです。

【北九州市 見どころ④】 資さんうどんが食べられる

妙においしい「肉ごぼ天」税込み779円
行列でした

福岡出身の人、福岡で働いたことがある人など、福岡に縁がある人にその話をすると、必ず熱い思いを聞くことになるほど食べた人を虜にするうどん屋、それが北九州に本店がある「資(すけ)さんうどん」です。私も何も知らずに初めて食べた時に、この妙に柔らかい麺と妙においしいごぼう天に衝撃を受けました。今では東京にも進出していますが、滞在中に本場の味をと2回食べました。東京に帰ってから花まるうどんを食べると、今度は逆にその麺の硬さに驚くことに。

【北九州市 見どころ⑤】 小倉駅前にオタクスポットがある

北九州といえは八幡製鉄所などに代表される「工業の街」なわけですが、松本零士先生を筆頭に多くの漫画家を輩出していることから、最近は「サブカルチャーの街」としての魅力発信に市が力を入れていて、小倉駅にはメーテル、哲郎、ハーロックのブロンズ像が立ち、駅から歩いてすぐのところにオタク複合施設の「あるあるCity」があり、オタクにやさしい街としての一面もあります。

「あるあるCity」5階の北九州市漫画ミュージアム企画展示室で「松本零士展」をやっていたので漫画原稿の原画を見たのですが、「絵がうまい」という小並感しか出てこない圧倒的な画力だったのですが、特に宇宙などの表現で描かれるページいっぱいのベタ塗の美しさに心動かされました。ただ真っ黒に塗りつぶされているだけではない、ベタ塗にも美しさがあるのだということに衝撃を受けました。原画には松本零士の娘さんの摩紀子さんのコメントが付いていて、「父はベタ塗の秘訣はゆっくり丁寧に塗ることだと語っていた」と書かれていたと思います。

【北九州市 見どころ⑥】 小倉昭和館で芸能人多数輩出の街 福岡を感じられる

火災から復活した小倉昭和館
古い方の「新幹線大爆破」
小倉昭和館復活に貢献した芸能人の名前がシートに

“北九州の台所”と称される旦過市場のすぐそばにある小倉昭和館で映画「新幹線大爆破(1975)」を見ました。私はこの映画館のことをよく知らなかったのですが、2022年に火災で焼失、クラウドファンディングでお金を集めて2023年に再建されたそうです。館内には再建に協力した九州出身の多数の俳優や映画関係者の色紙があり、さらには支援者の名前の入ったシート席があるので、私は小学生の時にチャゲアスファンだったこともあり、そういえばChageも小倉出身か!と感慨に耽りながら最前列のChage席で映画を観ました。映画館の館主の女性が映画が始まる前に当然のことのように客席の前でトークを始めるのも面白かったです。高倉健と小倉昭和館のつながりなど、貴重な話が聞けました。「衝撃的なラスト」との館主の言葉があったので、初見だったので物凄く身構えてラストシーンを観ましたが、私はそこまで衝撃的とは感じませんでした。福岡が生んだ大スター、高倉健と千葉真一主演の映画を福岡の映画館を観られてよかったです。

まとめ

小倉の街を眺める
外からも見えている

今回は3泊4日で福岡市と北九州市の中心部に行ったのですが、田舎育ちの私からするとひとつの県の中にこれほど栄えている街が2つもある福岡、すげーとなりました。食べ物もおいしいですし、文化もあるし、大陸に近いからこその歴史もあるし、ネットでは「さす九」などと話題に上がることもあるものの、旅行者としてはとても魅力的なのでした。
私は旅行にぬいぐるみを持参するタイプのおばさんですが、今回、ぬいぐるみにもこの景色を見せられてよかったと思います(かばんからかなりはみ出ていたのでホテルの方には気を遣わせてしまって申し訳ないと思いつつ)。大相撲のチケットがますます取れなくなってきた昨今、また九州場所に来られるかわかりませんが、船で会場入りしたり、昔読んだBLに思いを馳せたりと“ならでは”の風情があるので、また来られるように頑張りたいと思います。

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