新年もあけてしまいました。今年もどうぞよろしくお願いいたします。
突然ですが、昨日池袋の新文芸坐で『仁義なき戦い』5部作一気見大会があったので気合を入れて観てきました。結構、新文芸坐では毎年恒例のように『仁義~』の一挙上映をやってるみたいです(今年は1/18の一日のみ)。それで、午前11時スタートでラストは午後9時10分に終わることは映画館の公式のスケジュールで分かったのですが、間の休憩時間など細かいタイムテーブルや長期戦への備えのことなど、ネットで調べてもあまりヒットしなかったので、来年以降も実施された場合観る人のための心構えになるかもと思い、感想も交えてリポートを書いてみます。
事前準備篇
映画の合間にどれだけ食べられるのかわからないので、とりあえずお菓子とふかし芋とお茶(水筒)を準備。
現場周辺篇
池袋駅東口から徒歩5分~10分、デカデカと“MARUHAN”と書かれたビルの3階に新文芸坐が入っています。地下1階、1階、2階はパチンコとスロットという…こんな実録映画が似合う場所があるかというロケーションです。私は新文芸坐はきょうが初めてで、池袋駅周辺の地理も詳しくないですが、割と簡単にたどり着きました。映画館の開始前に少しお腹を満たしておこうと、近くの富士そばで『特撰富士そば』を食べました。映画館の周囲は飲食店と風俗店ばかりです。これで映画館がこういう小綺麗な外観ではなかったら、いくら午前中でもちょっと入りにくかったかもしれません。
劇場篇
エレベーターで映画上映開始20分前の10時40分頃3階へ行くと、もう入場が始まっていました。グッズ一覧を見ると、パンフレットはなくて、映画公開50周年記念のステッカーとTシャツが売っていたのでとりあえずステッカーを購入。Tシャツの購入は後で考えようと思って売店でいつまで売っているか聞いてみたら「4本目の上映後の休憩までの予定ですけど、その時によっていろいろ…」と濁されました。会場内では飲み物だけ飲んでよし、食事はロビーのみとのこと。ロビーなら食べ物の持ち込みも自由。名画座に行くと、映画によっては客の年齢や男女比、属性などに偏りが見られますが、今回は思っていたほどの偏りはなく、20代と思われる方や女性も多い印象。数年前、別の名画座で『仁義なき戦い』にも出演している松方弘樹の特集上映を見に行った時は、観客はほぼ中年(or初老)男性のみ、風貌も西村賢太のような、私の偏見でプロレスなどが好きそうな見た目の人ばかりだったので、『仁義なき戦い』はやっぱり幅広い層にアピールするんだな~と変に感動しました。席も7割~8割ぐらい埋まっている印象です。
1本目『仁義なき戦い』鑑賞後(12時50分から20分休憩)
うぉ~、久しぶりに観たけど面白いな!と興奮した気持ちで最初の休憩時間を迎えます。とりあえずトイレに行こうと向かったら、男性側だけ長蛇の列(なんだかんだ男性の方が観客数が多いので)。5本立てはトイレとの戦いですが、特に男性は大変です。トイレを済ませて自販機の前のロビーに行くと、お昼時ということもあり多くの人が思い思いにおにぎりやらサンドイッチらしきものを無言で食べています。椅子の数も多くないので、立って食べている人も多い。私も立ってふかし芋などを食べます。一度新文芸坐の外に出た人は、戻ってきた時に再度チケットのQRコードを係の人にスキャンして見せないといけない仕組みです。ほとんどの人は一度会場の外に出て思い思いに休憩しているようでした。
2本目『仁義なき戦い 広島死闘篇』鑑賞後(14時50分から20分休憩)
山中~!の悲恋が以前に見たほどヒロイックに感じられず、すでにお尻がものすごく痛い状態で2回目の休憩時間に。まずはトイレ、そして立ってお菓子を食べます。まだあと3本あるぞ!
3本目『仁義なき戦い 代理戦争』鑑賞後(16時50分から40分休憩)
打本や槙原などの煮え切らない小物キャラが暗躍するようになり、すかっとしない展開に途中初めて眠気を感じました。しかし、複雑な権力抗争に次第にのめり込んでいき、最後のお骨グシャのシーンで兄ィ~!と盛り上がって3度目の休憩時間に。3本目の後が一番長い休憩時間で、40分あるのでちょっと外の空気を吸おうとマルハンビルを出ました。時間の余裕のあるうちに食事をした方がいいと思いつつ、まだ17時過ぎなのでちょっと早いと思ってビルの近くの池袋駅前公園で何となく座ってお菓子をボリボリ食べました。会場に戻ると、段々観客の座席の感じがこなれてきて、ドリンクホルダーに1.5リットルのペットボトルがドンと入っていたりします。私も持ってきた水筒が空になったのでペットボトルを買いました。あとは代理戦争から更に人間関係が複雑になってくるので(あと死んだはずの俳優さんがまた別の役で出てきたりしてややこしいので)スマホでWikipediaを見ておさらいしてる人が多い印象も。
4本目『仁義なき戦い 頂上作戦』鑑賞後(19時10分から20分休憩)
代理作戦から頂上作戦が一番続編らしい連続性があります。いよいよカタルシスのない政治劇が極まってきますが、自分が歳をとったためか、この2作が特に面白く感じられました。お尻の痛さも忘れ、時間も一気に過ぎていきます。あっという間にラスト1作!アナウンスが流れ、グッズ販売がこの休憩中に終わるとのことだったので、この面白さのお礼にと金子信雄のTシャツを買いました。
5本目『仁義なき戦い 完結篇』鑑賞(21時10分で終了)
5本目だけ笠原和夫脚本じゃないからなのか、なんとなくうーんという感じでラストを迎えます。組長襲撃シーンも、襲撃・乱闘シーンを見続けたせいで「はいはい」という感じで流し見てしまいました。それでも5本目が終わった時は会場から拍手が!映画への拍手と、一気見を完走した達成感の拍手です。4本目で後ろの方からすごい鼾が聞こえてきたりしましたが、会場の人数はほとんど減っていないように見えました。なんだかんだであっという間でした。終わった後会場を出ると、4本目の後の休憩が最後の販売と言っていたのにまだグッズを売っていました。最初に売り場の女の子が終了時間をぼかしていたのはこういうことだったのか…と思うなど。
以上、5本一気見を終えて私が感じたことを列挙しますと
- 休憩時間はできるだけ体を動かそう!(椅子は座り心地いいですが、両隣が埋まっているとかなり窮屈で体が痛くなってきます)
- 分厚い靴下は避けよう!(寒いと思ってモンベルの分厚い靴下を履いたら暑すぎました)
- “いい観客”を心がけて無用のストレスを減らそう!(前後左右の客がはずれだった場合、完走の難易度がぐっと上がります)
- 1.5リットルのペットボトルでも座席のドリンクホルダーに入るので飲み物は多めに準備しよう!
という大したことのない助言しかなかったという…。映画館で映画を一気に5本見るのは初めての体験でしたが、会場のトイレの数も多いですし、会場の周りにコンビニや飲食店も多いですし、何より映画が面白いのでそこまで一気見のハードルは高くないというのが結論です!(あくまで個人の感想です)結局、一気見の間は持ってきたお菓子だけでしのいで、すべて見終えて映画館を出てからようやくゆっくり食事しました。ここでカフェとかは違うと思い、松屋で食べました。
ここからは『私と仁義なき戦い』の話なんですが、よかったら読んでください。10年以上前、まだ上京しておらず、京都で鬱屈した生活を送っていた頃、一瞬だけ、シナリオスクールに通っていたことがあります。すぐに挫折して辞めてしまったんですが、そこの生徒だった中年男性に、『仁義なき戦い』のDVD5本セットを貸してもらって見たのが出会いです。最初は始まってすぐの米兵による女性のレイプシーン、日本刀での腕切り落としシーン、刑務所での切腹シーンなど、暴力シーンの畳みかけに拒否反応が出て見られなかったんですが、せっかく貸してくれたからと我慢して見たら、見事にハマってしまいました。そのうちに「もっと暴力シーンを~!」とまで思うように。自分で実録系のやくざ映画を集中して見るようになり、暴れまわる俳優さんたちを見て、日ごろの鬱憤を晴らしていました。その後上京して、今回久しぶりに観たわけですが、昔と今ではだいぶ感じ方が変わっていました。
まず、昔は松方弘樹や千葉真一が演じるような血気盛んでとにかくブチ切れるキャラクターが好きだったのに、年をとったせいか菅原文太や小林旭が演じるような親分(上司)の理不尽に疲れているキャラクターに深みと魅力を感じました。あとは、このシリーズが太秦の東映京都撮影所で撮影されたことは知ってましたが、昔自分の部屋の小さなテレビ画面で見た時はあまり気がつかなかったのに、映画館の大画面で見るとロケ地があまりにも京都で、呉じゃないやん京都やん!と若干興ざめしてしまう部分もありました(王将太秦店、珉珉、ヤサカタクシー、昔の京阪電車、びわこ競艇等々の映り込みが気になって…)
今は昔のような鬱屈した生活ではなく、東京でのびのびと暮らしていますので、改めて見てみて、上京の直接のきっかけではないにしろ、暴力によって力関係を強引に変えていくこの作品群によって「現状を変えるには、とにかく行動することだ!」というメッセージを受け取っていたのかも、としみじみしてしまったのでした。
各シリーズ必ず最初と最後のナレーションで広島の原爆のことと、戦争という暴力についての言及があるのが映画をただのやくざ抗争ではなく、一段普遍的な問題へ押し上げていると思うので、未見の方はぜひ見てみてほしいです!