BEAR PARK EXCURSION

念願の生ヒグマ
ヒグマへの興味は尽きない

ゴールデンウィークも終わりましたが、終わってほしい戦争とコロナはまだまだ終わらない日々が続きます。もうクマ牧場の思い出を反芻するしかない…。ちょっと前になりますが、4月にクマ牧場に行った話をしてみようと思います。“クマ牧場”といっても、もちろんクマが放し飼いされてる牧場ではありません。“クマしかいない動物園”といった方が正しいかもしれません。

ツイッターなどで私のイラストを見てくれている人はご存じかもしれませんが、私の描くイラストにはクマがよく登場します。初めての登場はおそらくこのイラストあたりかと思いますが、2020年の最初の緊急事態宣言の頃にイラストを描く量が増えるのとともに好んで描くようになり、以降心強い相棒のような気持ちでほぼ毎回どこかに登場するようになりました。なぜそんなに好きなのかをうまく言語化することは難しいのですが、夫によると私がテレビでクマを見る時と大相撲を見ている時の喜び方が同じだそうなので、ざっくり「大きくて強い」というカテゴリーに分類して、そのことに魅力を感じているのは確かなようです(同じにしてすみません)。

初期のクマ(2020年頃)

これまで何度となく描いてきたクマですが、実物を見たことはなく、ネットの画像検索などで見るクマをなんとなくのイメージで描いていました。また、テレビのドキュメンタリー番組でヒグマが扱われている時には注意して見たりしていたのですが、まだ“概念としてのクマ”の状態のままで、実感として自分の中に落とし込むことはできないままでいました。

そんな折、ゴールデンウィーク直前に夫とともに長めの休みが取れるタイミングがあり、北海道旅行を決行、そこで念願の生ヒグマを見る機会を得ることができたのです。感動でした。

クマ牧場その1『昭和新山熊牧場』

くま、熊、羆

このクマ牧場は北海道南西部に位置する洞爺湖にほど近い「昭和新山」という、その名の通り“昭和に新しくできた山”のすぐ近くにあります。昭和新山ももちろん初めて見ましたが、湯気が立ち上っている様からして未だに活動しているのがよくわかる火山で、これだけでも見る価値はあります。しかし、今回のメインはクマ。クマ牧場は昭和新山目の前の駐車場から少し離れたところにあって、本当にこんなところにヒグマなんているのか?と不安に思っていたら、前方に屋根に書かれた巨大な「くま」の文字が見えてきて、それだけでもう心がかっさらわれました。

昭和新山

まずクマ牧場の入口両脇には巨大なクマの置物とはく製が置かれており、中に入ってすぐのところは土産物コーナーで、そこのレジでクマ牧場の入場料(850円)を払います。レジのすぐ横に、えさやり体験用のクマ用クッキーとリンゴがあったので、迷わず一番量が多いかご一杯のりんご(500円)を買って、いざ、クマ牧場の入口に入りました。コンクリートのスロープを少し下ったところにまず目に入ってきたのはアライグマの檻。まあ、クマといえばクマですが、ヒグマを見る気満々で来る客にとってはほぼ目に入らない存在です。そこはサーっと流して(ゴメン)、いよいよ『くまのアパート』と名付けられた檻でヒグマを初めて見ました。まだ子どもかと思われるような比較的若いヒグマが狭い檻の中にぎゅうぎゅうに入っていて、エサのリンゴを投げ入れるとクマ同士リンゴを奪い合って殺し合いが始まりそうな殺気が漂い、なんとも表現できない鳴き声も聞こえます。こちらを見る視線もギラギラしていて「怖い!」と思いました。スロープを挟んで反対側が一番広い『大牧場』で、ここには大人のオスが集められています。そのエリアだけで10頭はいたでしょうか。こちらは若いクマの荒々しさはなく、完全におじさんの風体で大いにだらけた姿態を晒しています。四方をコンクリートに囲まれた檻を見下ろす形になっており、我々人間の姿を見るやいなや、それぞれがエサをくれとせがむ得意のポーズを披露!エサのリンゴを投げ入れるとそれを口で直接キャッチして一口で食べてしまいます。

これは『若くま牧場』の若いクマ

クマのえさやりが面白くてリンゴをどんどん投げ入れているとあっという間にかごの中が空になり、もう一度入口に戻ってえさを買い直します。股間を叩いたり、足を持ち上げてみたり、様々な芸を披露してアピールするクマたちにエサを投げ入れることに熱中した後は、『人の檻』と名付けられた、階段を降りてより至近距離でクマを見られるエリアに入ります。

クマが至近距離に!

ここでは通気口を伝ってエサのクッキーをあげることができ、それを目当てにクマが目の前に近づいてきます。ガラスと鉄格子越しとはいえ、至近距離!しかも通気口からはクマがクッキーを吸い込むための「スゥースゥー」という息の音までが聞こえてきます。怖い!怖いけれどもこんなに間近にクマを見られるチャンスはない!と思って必死にその姿をスケッチしました。今まで曖昧だった手の裏側や爪の部分もはっきりとわかりました。

これはヒグマを直接見て感じた私の勝手な感想ですが、以前動物園のトラを檻の目の前でスケッチした時はもっと鋭く獰猛なオーラを感じ、隙あらばひと噛みで殺してやる!という肉食獣の前のめりの殺気を感じたものでしたが、クマの場合はもう少し警戒心が強く、いろいろ考えている“思慮深さ”のようなものが感じられたような気がしました。ま、こんな動物に外で出くわしてしまったら“死”だな!とは思いましたが、積極的な殺意はないような気がしたんですよね…。若いクマはまた別で、好奇心で人間に近づいたらうっかり殺しちゃった!とかありそうな気がしましたが…。

しかし、ざっと見たところでも想像よりもかなりの頭数のヒグマが飼育されていたのですが(30頭以上?)、土産物コーナーのレジ以外で職員のような人も見当たらず、これだけのクマをちゃんと世話するだけの人員が足りているのか、平日の昼間だったとはいえ、客は我々以外に数えるほどしかおらず、経営は大丈夫なのかなど、いろいろと心配になってきます。

クマとの2ショット写真

クマ牧場その2『のぼりべつクマ牧場』

続いて翌日に登別温泉街のど真ん中にあるのぼりべつクマ牧場にも行ったのですが、段々と書くのが疲れてきました(←おい)。ので、写真でみなさまもお楽しみください。

のぼりべつクマ牧場へはロープウェイに乗って山の上まで行かねばならない
昭和新山とちがい、道案内も親切
なんかこういうノリです
クマ(前)
クマ(後ろ)

北海道旅行では他にもいろいろと行ったはずなのですが、結局はクマのことばかり思い出して、写真や動画を見返してはにやついています。旅行から帰ってきて割とすぐに知床の観光船の沈没事故があり、知床半島の野生のヒグマが至近距離で見られることが売りのコースだったということで、「ヒグマが見たい」という自分と同類の方々が亡くなったのだと思うと全然他人事と思えずショックを受けるとともに深い悲しみを覚えました。

実物のヒグマを見たことで、今後のクマの描写に生かすことができるのか。それはわかりませんが、更にクマに魅了されたことは間違いないのでした。クマ牧場、経営的にも動物福祉的にも今後は厳しいかもしれないので、興味のある方は早めに見に行ってみることをおすすめします。

PAGE TOP