HAPPY YEAR OF THE TIGER

気さくに私との記念撮影に応じる“新宿タイガー”

年が明けてからすでに1か月以上経っているのですが、新年のご挨拶です。年末年始にイラストの仕事があったため、SNSにアップするイラストやブログの更新が滞っていたのですが、納品が終わっても一度アップする習慣が途切れてしまうとなかなか再開できないものですね。再開の一発目とすべく、先日自分にとって新年らしいおめでたい出来事があったので書き記してみます。

突然ですが、皆さんは“新宿タイガー”をご存じでしょうか。新宿の街を歩いていると、たまに虎のお面をつけてド派手な格好で颯爽と自転車を飛ばす異形の存在に出くわすことがあります。“新宿タイガー”、“タイガーマスクおじさん”などの愛称で呼ばれる新宿の知る人ぞ知る有名人です。思わず二度見三度見してしまういで立ちで、職業は元新聞配達員。ウィキペディアなどネットにもたくさん情報があるので気になる人は見てみてください。

私が初めて“新宿タイガー”を目撃したのは5年ほど前の新宿の映画館で、映画はブルース・リー主演の『燃えよドラゴン』でした。場内はそれなりの広さがあり、私は後ろの方で見ていたのですが、最前列のど真ん中にやたらデコラティブな出で立ちの性別不詳の人が陣取っているのが遠くからでも目に飛び込んできました。「ブルース・リーぐらいの大スターになるとすごい人が観に来るもんだな」と変なところに感心したものです。その後偶然に『新宿タイガー』(2019年公開)というドキュメンタリー映画が公開されることを知り、気になって観に行ってみると例の映画館で見かけた変人が映画の中でも映画館の最前列で映画を観ていたので、あの時見たのは新宿タイガーだったのか!その時記憶がつながったのでした。

映画では“新宿タイガー”がド派手な格好で地道に新聞配達の仕事をしつつ、好きな映画を観て、なぜかたくさんの美人女優たちに囲まれて日ごとお酒を飲む生活が描かれていました。ただそれだけといえばそれだけなのですが、タイガーの場合はそんな生活を40年以上も続けているのです。『なんでもいいからとにかく続ける』ことの説得力が伝わり、いまだ人生の道筋がよくわからない自分の背中を押してもらったような気になったものです。以降すっかりタイガーのファンになり、映画公開記念に作られたタイガーグッズのお守りも買って持ち歩いていたのですが、たまたま運よく街でご本人を見かけた時に限ってお守りを持っていなかったりして、せっかくの声をかけるタイミングを失ってしまったこともありました。

タイガーのお守り

ネットの情報によるとすでに70歳を過ぎているタイガーは、2020年2月には長年生業としていた新聞配達の仕事も引退したとあり、このコロナ禍で元気にしているのか心配でもあったのですが…

先月末、夫が私の誕生日プレゼントを買ってくれるということで、二人で新宿に出向きました。そして、紀伊國屋書店別館に行こうと角を曲がったところで、これから自転車に乗ろうとするタイガーに出くわしたのです!私は急いで持っていた“タイガーお守り”を手に、今度こそはとタイガーに接近し、思い切って話しかけることに成功しました。おそらく、突然見知らぬ人に話しかけられることなど日常茶飯事のタイガーのこと、全く動揺することなく、ハイテンションで対応してくれました。

お守りを見せながらタイガーのドキュメンタリー映画を観に行ったことを伝えると大変に喜んでくれ、日暮れ頃だったので私が「これからゴールデン街ですか?」と聞くと「そうそう、よく知ってるね~!」と映画で観た通りの生活様式を現在も実践していることがわかりました。私がタイガーの座右の銘の「夢とロマンと…」と途中まで言うと「シネマと美女と夢とロマンね」、と間髪入れずに順番を訂正してくれる。タイガー自らスマホのカメラロールの写真をどんどん見せてくれるし(自分自身が最大限デコられているためかスマホはカバーすらなし)、ビートたけし(タイガー曰く“たけし先生”)のテレビ番組で紹介されたんだよ~と教えてくれる。私がいっしょに写真を撮りたそうにしていると、なんとタイガーの方から「いっしょに写真撮ろう!」と言ってくれる。私のスマホで夫にお願いして撮ってもらい、なんとタイガーのスマホでも同様に撮影、まさに夢のような時間が流れました。「今年の干支は虎なのでタイガーさんの年ですね!お会いできていいことあります!」と私が言うとタイガーは「うん、きっとあるよ~」と力強く頷いてくれました。新宿でタイガーを見かけるといいことがある、という都市伝説があるそうですが、本人から発せられるポジティブなオーラに接すると、本当にいいことがありそうな気がしてきます。

では!と別れの挨拶をしてからもしばらくタイガーを見ていると、ぬいぐるみが連なった巻物を何重にも首にも巻いて重装備をするので自転車で走り出すのにかなり時間がかかることがわかり、ずっと見ているのも悪いので建物に入ってからもこっそりタイガーが走り出すのを見届けました。

本当はタイガーと一緒に撮った写真をそのままブログに上げたかったのですが、本人の許可を得ていないので何かと思い、イラストで描いてみました(タイガーなら全然OKと言ってくれそうな気もしますが…)。実際の写真は現在の私のスマホのロック画面になっています。会社で何人かの人にタイガーのことを聞いてみましたが、50代の男性がその存在を知っていました。その男性曰く「少なくとも1980年代からあの格好で活動している。当時のアニメにも新宿の街並みとともにタイガーが描かれていた」とのこと。その頃から現在に至るまであの格好で新宿を駆け巡っている。意味はわからないが、とにかくすごい!と改めてリスペクトの念が湧きました。

タイガーと別れた後は誕生日プレゼントに松方弘樹の脱獄三部作と呼ばれる『脱獄広島殺人囚』、『暴動島根刑務所』、『強盗放火殺人囚』のうち、在庫のあった二作を買ってもらい、それだけでも十分にお腹いっぱいだったのに更に店内で林家ぺーにも遭遇したりして、胸やけ気味の一日でした。林家ぺーもビジネスであのファッションなのではなく、本当にピンクで全身コーディネイトしていて、奇しくもタイガーと若干キャラが被ってしまっていたという…。

世の中はなんだか暗い話題が多いですが、タイガーが「きっといいことあるよ!」と言っていたのでいいことがあるはずです。みなさまにとっても幸多き一年になりますように。

誕生日プレゼントです
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