SEPTEMBER ACHIEVEMENT

調子が悪い、テンションが低い、そんな低空飛行を続けているうちに9月が終わろうとしています。もはや副反応なのか、低気圧だからなのか、季節の変わり目だからなのか、長引くコロナ禍だからなのかよくわかりません。それらが渾然一体となってドロドロスープになっているのかもしれません。

特記すべきことなどなにもない日常ですが、友だちがいないので話を聞いてほしいのです(と同時にひとり放っておいてほしいという矛盾も抱えています)。

今月描いたイラストのことを少し解説してみます。

オペラシティの巨人

巨人はでかいのにあまり誰にも気にされてない

初台のオペラシティ地下1階の円形広場には変な音楽とともに上を向いて口をパクパクさせている巨大なオブジェがあります。前からこのオブジェが好きで、ネットで調べてみたら『シンギングマン』というタイトルであることがわかりました。歌ってたのかよ!と余計に好きになり、イラストに描いてみることにしました。このイラストをインスタにアップしてみたところ、ドイツ在住の友人から「ベルリンにあるオブジェを思い出した」とのコメントが付き、調べてみたらこの『シンギングマン』を作ったのと同じジョナサン・ボロフスキーという作家の作品がベルリンにもあることがわかりました。誰に顧みられなくても歌い続ける孤独な佇まいが気に入っています。

“シンギングマン”だそうです

深夜に手ぶらでコンビニ

ツイッターでつながりのある方から『#引用RTで絵をあげて5人指名してバトンでお気に入りの絵を載せる』というお題をいただき、せっかくなのでストックではなく新たに絵を描こうと思ったのですが…。

メガネの修正に失敗

サラサラっとかっこよく描き上げたかったのですが、なんだかメガネの左右の大きさが違う。修正ペンを使って修正を試みるも更におかしくなる。結局スキャンしてデジタルで修正しました。線画をデジタル修正すると感じる罪悪感の正体はなんなのでしょうか。別に悪いことではないのに…。

岡山のバスタブと用水路

モデルとなった場所は岡山県のどこか

2回目のワクチン接種の副反応で寝込み、全然絵を描く気力もなくなっていた時、岡山に出張中の夫から何気ない田舎の風景写真がたくさん送られてきました。もともとが田舎出身で、長く東京に閉じ込められたような生活で田舎成分の摂取が足りていないからか、私はその写真に久しぶりに燃えるものを感じたのです。用水路が張り巡らされた住宅地の風景が特徴的で、私の田舎にも用水路はありましたが、こんなに幅が広く深さもなかった。しかも参考にした写真には、農作業用か、ただ放置されているのか、水色のバスタブが写っています。これもイイ。全国の打ち捨てられたバスタブばかりを収めた牧ヒデアキさんの傑作写真集『浴槽というモノリス』みたいです。

久しぶりに意欲を持って机に向かい、リハビリがてら描いてみました。私は草木を描くのがめっぽう苦手で、この時も全くうまく描けず、まあリハビリだからいいかとツイッターにアップしたらけっこう反応がよくて驚きました。うさぎが連続写真みたいになってるところがよかったのかな?

バスタブと用水路がいい感じなのです

岡山の家並み

もっと岡山の家並みを描きたかった

だんだんと気力が戻ってきて、さらに岡山の写真からインスパイアされたイラストが描きたくなりました。古い家屋が立ち並ぶ風景が気に入り写真を参考にいつものA4コピー用紙に描こうとしたのですが、全然紙の大きさが足りない。そもそも紙のサイズに合わせてラフの段階で物の位置を決める(アタリってやつ?)ということをしないため、端から思いのままに描いていくと全然紙が足りないことがよくあるのです。こういうことがあったので次のイラストで自分史上最大のB3サイズで描くことになります。

全体のうち赤線部分ぐらいしか描けなかった

B3の絵に挑戦

当たり前ですが紙が大きいとたくさん描き込めます

デカい絵を描いてやる!と意気込み、世界堂でB3のケント紙を買いました。もう一度岡山の家並みにチャレンジしようと思ったのですが、すでに描いた部分をもう一度描くのが面倒くさく(おい)、前から描いてみたかった新大久保のイスラム横丁の一角を描いてみることにしました。この一角の中でシンボル的な存在感を放つハラルショップの『グリーンナスコ』(イラスト左)がとにかく好きで、日々の生活で息苦しさが臨界点に達しそうになると“最も身近な異国”を感じに訪れています。行く度に店舗内が拡張されていて、商売繁盛そうで何よりです。どんな人種でも、何なら人間でなくとも受け入れてくれそうな懐の深さがある街なので、人に非ずの方たちを四方に配置してみました。(ちなみにキョンシー頭上の鳥とビルの上のタコは最近読んで感動したひこねのりお先生の『キャラクターあれこれ図鑑』から拝借…、いえ、オマージュを捧げました)

いつもの「紙が足りなくて描きたいものまで描けない」問題が解消して実にすっきりしましたが、今度はデジタル彩色するにあたり線画をスキャンするには紙が大きすぎるという問題が出てきました。自分が持っている安いスキャナーはA4サイズまでしか取り込めないし、コンビニのコピー機もA3まで。キンコーズでもセルフサービスでコピーできるのもA3までだし、窓口で頼むと高そうです。今回はコンビニのコピー機で無理やり位置をずらして数回スキャンしたものをクリップスタジオ上で統合する技を使いましたが、そういう緻密な作業は最も苦手とするところで気をつけたつもりでもよく見るとずれがあって修正に苦労しました。

この辺りは今後の課題と言えそうです。今月はいまのところこれだけしか描けてませんが、余裕があればあと1枚ぐらい描きたいところです。

写真に撮るのが一番簡単なのか
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