MY PANDEMIC DIARY

豪華執筆陣の『パンデミック日記』

「新潮」編集部/編の『パンデミック日記』を読みました。2020年1月1日から2020年12月31日までの1年間を小説家など52人のクリエイターがリレー方式に日記を1週間ずつ繋いでいくというもの。1月1日の筒井康隆から始まり、蓮實重彥で1年が終わるという豪華な内容です。義理の弟がやっているアート・ユニット(THE COPY TRAVELERS)がカバーと本文カットを担当しているので誇らしげな気持ちで読みました。『パンデミック日記』とはいうものの、執筆者はほとんどが”物書き”に類する人たちなので元々がステイホームな仕事柄、特にコロナ禍だからといってひどい影響を受けているという感じはありません。ただただ締め切りのある日常が描かれていて、この中では劇作家などの演劇畑の人が公演キャンセル続きで大変そうだなという印象でした。本当の『パンデミック日記』はコロナに感染した人、職を失った人、医療従事者などの、“日記など書いている場合じゃない人”によるものなのかな、とも思いました。とはいえ、影響されやすいたちなので、真似して私の『パンデミック日記』としてここ1週間の日記を書いてみることにします。

6月27日(日)

午前10時から美容室に行く予約をしていたが、人身事故により電車が止まる。急遽別のルートで行ったので30分の遅刻。アシスタントの女の子が「最近人身事故が多すぎてやばいですよ~」と言う。私はふだん電車通勤をしていないので気がつかないが、本当にそうなのかもしれない。

カットは昼過ぎに終わり。お腹が空いたので帰って家で焼きそばを作って食べようと思い、家の近くのスーパーで野菜や肉を買う。レジが終わり、袋に詰めた時点でようやく家の鍵を忘れて出て来たことに気づく。夫は用事で外出しており、帰宅する夕方まで家に誰もいない。こういうことが2か月に1回ぐらいの頻度で起こる。仕方がないので時間を潰せる場所を探してまた電車に乗る。問題は焼きそば用に豚肉を買ってしまったことで、家に帰るまで悪くしないようどうするかと思案し、コンビニでカップに入った氷を買ってそれを袋にいっしょに入れてしのぐことにする。

とにかくお腹が空いたので昼ご飯が食べたいと新宿の街をさまようも、14時を過ぎているのにどこも混んでいる。緊急事態宣言が解けて、明らかに人出は増えているように感じる。すぐに入れる適当なタイ料理屋に入って、ランチセット(半グリーンカレー+半トムヤムクン)を頼む。そのあと本屋で『パンデミック日記』を買ったところで夫から連絡があり、駅で待ち合わせてようやく家に帰ることができた。そして焼きそばを作った。

6月28日(月)

天気予報で雨が降る降ると言っていたが、なかなか降らない。昼は仕事。終わってからエクセルシオールでひとりお茶していたら、ガラスの向こうに見える木にすずめのペア(つがい?)を見つける。あまりに仲睦まじい様子なので心なごみずっと眺めていた。今度すずめを描いてみようと思う。

6月29日(火)

昼の1時半からガスの点検で家の中に業者の人が訪問してくるそうなので、朝から頑張って掃除する。結局、重点的に取り組んだ風呂場まわりの点検はなく、ただ洗面所がきれいになっただけだった。雨が降りそうで降らないと思ったらやっぱり降ったりして、どうにも体が重い。夜、イラストを描く。今週末の都議会議員選挙への重い気持ちを込めて都庁を描いた。

もうすぐ都議選だけど気持ちが重い

6月30日(水)

仕事。職場の管理職の人たちの異動が近いため、なんとなく慌ただしい雰囲気。夜、去年の年末にまとめて描いておいた自作のカレンダーを貼りかえる儀式。7月のはなんとなく色を塗らないままでいいような気がしたのでそのままにする。

7月の自作カレンダー

7月1日(木)

仕事。管理職の人たちが異動前の最後の日なのでご挨拶して周る。お別れセレモニー的なやつが長くなりそうだったので参加せずこっそり帰る。

夜はイラストの下絵。夢うつつの時にホースを持って踊っている人のイメージが浮かんできたので、それを描いてみることにする。

ホースを持って踊っている人(あと28日のすずめも描いてみた)

7月2日(金)

雨。夫がギャルソンの限定Tシャツを買いに行くのについていく。今週末、趣味でやっているバンドのイベントに着て行きたいらしい。『トレーディングミュージアム コム デ ギャルソン』というショップにしか売ってないらしいので、表参道へ。田舎者にはいつまでたっても平常心で行けないエリアだ。雨の中をしばらく店を探して歩き、黒塗りのビルの2階に発見。広いフロアにギャルソンとマルジェラと何か知らないブランドしかなくて怖い。お客さんの誰もいない店内で、目当てのTシャツはすぐに見つかった。店員のお姉さんが私の着ていたチャイナ服風レインコートを褒めてくれ、お世辞でもとてもうれしい。コロナ前は中国人と韓国人のお客さんでいっぱいのイメージだったギャルソンだが、現在はかなり苦しいのかもしれない。買ってお布施したいが、買える金額のものがない。レディースはビョークの衣装みたいなすごい服ばかりで、触れるのもためらわれるほどだった。目の保養になった。

夜はイラストの色塗り。

色塗り後。じめじめした日が続くので日差しが強い感じにしてみた

7月3日(土)

夫はバンドのイベントのため昼前に出て行く。いつもバンドのイベントで出かける直前は「あれがないこれがない」となって部屋をひっくり返したり、本当に時間ギリギリまで楽器の無限反復練習をしたり落ち着かない雰囲気というか、軽いパニック状態に陥る。それに巻き込まれてだんだん私の機嫌が悪くなってくると「あなたあってのわたくしですから」などの言葉でごまかそうとする。今日は突然私のお気に入りの曲『赤鬼と青鬼のタンゴ』を流してなんとかしてこようとしてきた。そんなこんなで何とか夫を送り出し、『パンデミック日記』を読み終え、掃除洗濯を終え、今に至る。

私にも夫のパニックが伝染し、ゴルゴにつまづいて山が崩落

という、何の締め切りにも追われていない『パンデミック日記』でした。

【追記】ようやく今日(7/3)コロナワクチン接種券が届きました。一日も早く『パンデミック日記』が終わりますように・・・

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