MEU AMOR E…

これは『十戒』

私の中ではいま、空前の中森明菜ブームが起きています。といってもこの前のゴールデンウイークぐらいから…。今年は5月1日に中森明菜がデビュー40周年を迎えたということで、盛んにネットニュースなどで関連記事が出ています。また、過去に明菜といろいろあった近藤真彦が4月末にジャニーズ事務所を退所したタイミングも重なり、昔の2人のスキャンダルを掘り起こすような記事も数多く出回っています。最近はリアルタイムではない若い世代の間でもYouTubeきっかけで明菜人気が高まっているともいいます。中森明菜といえば松田聖子とともに’80年代を代表するアイドルですが、聖子に比べて圧倒的に”陰”のオーラを纏っていることも今の暗い世相に合っている気がします。つまり、いま、明菜はきているのです!

私は明菜の芸歴とほぼ同じだけ生きてますが、リアルタイムの記憶は歌番組での『DESIRE-情熱-』や『TATOO』のビジュアルや’92年に明菜が出演していたドラマ『素顔のままで』ぐらいです。子供にとって明菜の世界は大人すぎて、まだ早かったのでしょう。

いつかは履修せねば…とは思っていた教養科目『明菜』ですが、あまりにも思い入れの強い長年の熱狂的ファンも多いことから、うかつには踏み込めないといままでは躊躇していました。そんなある時、ふとネットの記事で明菜ファンのゲイの男性が 「『中森明菜の中でどの曲が一番好きか?』という質問が一番困るけど、『DESIRE-情熱-』や『ミ・アモーレ [Meu amor e…] 』と答える人には心を開けない」というようなことを書いているのを読んで、突如、心の炎が点火されました。

それから「中森明菜の中でどの曲が一番好きか?」にという危険な問いに備えるべく、明菜の曲を無限ループで聞き始めました。いままでそんな質問をされたこともないし、これからされるかもわからないけれど、適当に答えて長年のファンに”わかってない人”の烙印を押されることだけは避けたい。そしてあわよくば「なかなかやるわね」と思われる1曲を答えたい。

そうは言ってもキャリア40年を半月で追いかけるのは土台無理というもの。とりあえずはYouTubeでライブ映像を見たり、ストリーミングでベストアルバムを聞き続けました。圧巻のライブパフォーマンスやデビュー当時の歌番組での可憐な姿ももちろん魅力的ですが、私はヒット曲を連発していた’80年代のシングル曲の作曲家陣の豪華さに魅了されていきました。『飾りじゃないのよ涙は』の井上陽水ぐらいはさすがに知っていましたが、細野晴臣(禁区)、林哲司(北ウイング)、玉置浩二(サザン・ウインド)、高中正義(十戒)、松岡直也(ミ・アモーレ)、タケカワユキヒデ(SOLITUDE)、EPO(ロンリー・ジャーニー)、加藤登紀子(難破船)、国安わたる(ジプシー・クイーン)等々…と多彩を極めています。というか曲者ぞろいです。松本隆界隈で固めていた松田聖子とは対照的でしょうか。

あとはやたらに異国情緒が漂っている曲が多いのも面白い。歌詞の舞台がブラジル(ミ・アモーレ)、サハラ砂漠(SAND BEIGE -砂漠へ-)だったり、突如アラビア語が出てきたり(SAND BEIGE -砂漠へ-、AL-MAUJ)、タイトルだけでどこか遠い異国の世界へ一発で飛んでいけるものが多い(ジプシー・クイーン、TANGO NOIR、清教徒<アーミッシュ>)。もはやひとり『なるほど!ザ・ワールド』状態です。『DESIRE-情熱-』のボブカットに和装ファッションも海外から見たジャパネスクのようにも見えます。

いまはようやくシングルベストを自分なりに1周し終え、名曲が多いというカップリング曲を掘り始めていますが、こうやってどんどん沼にはまっていくのでしょう。明菜ファンとして有名なミッツ・マングローブやマツコ・デラックスが好きだという『SOLITUDE』や『BLONDE』のよさもわかってきて、確かにそれを挙げれば通っぽくは振る舞えますが、それでは「ミッツやマツコの好きなやつね」とすぐに見抜かれてしまうのでダメです。

では、現時点での私の1番好きな曲は…松岡直也のラテン・フュージョンミュージシャンとしての実力が遺憾なく発揮された異国情緒たっぷりの…あれ…?一番正解に遠いやつ…

GW中はひたすらに明菜を聞きながら人形作り
最大の難所、頭
完成
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