9月になり、いくらか過ごしやすい日もあったがまだまだ熱射地獄からは解放されない。8月中頃からずっと軽い熱中症のような状態で、食欲はなく、意識はぼんやりして、どれだけエアコンで室温を下げても建物自体が帯びている熱が体に伝わってくるようで暑いものは暑い、でもエアコンで体は人工的に冷やされてカチカチに固まり、とにかくつらい日々が続いている。
今年は蔓延する感染症のせいで世相が暗いことも影響しているのか、ほとんど家の中にいることがよくないのか、人間が快適に生活を送ることが困難な気象条件が続いているせいなのか、ただ私の不注意なのかわからないけれども、細かいからだの不調が続いている。きっとそういう人も多いだろう。
秋に差し掛かり、季節もデクレッシェンドの様相を帯びてきたところで、今年の不調を振り返ってみようかと思う。
ガラスクリーナーのスプレーボトルを足の親指の上に落として負傷
あれは5月のゴールデンウィークのさなか、まだ世の中は緊急事態宣言下で、私もどこにも行かずに食料の買い出し以外はひたすら家の中にいたころだ。ありがちな思いつきで、普段はやらない鏡磨きでもやってみようとガラスクリーナーのスプレーボトルを手にしたところ、フタの部分からスプレー本体が抜けてしまい、そのまま落下して足の親指の上を直撃した。容量は500ml近くはあったろう。あまりに痛さにギャーと叫んで四つん這いになった。親指は内出血、指の付け根は切れて出血、しかしゴールデンウィーク中で整形外科は休み、親指イタイイタイと言い続ける連休となった。休み明けに訪れた整形外科では痛み止めを処方され、新しい爪が内出血した爪を押し上げて生えてくるので1か月ほど待てと言われる。確かに新しい爪が生えてきて、黒く内出血した爪を押し上げているのだが、現在に至るまで、古い爪、内出血部分、新しい爪の三層構造になっており、実に気持ちの悪いことになっている。
アニメーション動画を作ろうとして歯を食いしばり歯根膜炎に
思えば緊急事態宣言中はまだ元気だった。この期間を何か有効に使おうという意欲があったものである。詳しくはブログにも書いたのだが、自分の描いたイラストを動かしてみたいとアニメーション作りに挑戦、その間力んで歯を食いしばっていたらしく歯の根元が炎症を起こして大変な痛みに苦しんだ。歯科で歯に被せ物を作ってもらい、歯を食いしばらないようにしたらあっという間に治った。しかしその流れで放置していた親知らずも抜くことになり、以降ぽっかり空いた親知らず跡地に食事の度に食べかすが詰まる不具合が起こるようになった。
自転車に轢かれる
8月のある日、うだるような暑さのなか、近所を歩いていた。ペットのトリミングサロンの前を通り過ぎようとして、気になる犬が目に飛び込んできたのでもう一度よく見ようと立ち止まって少し逆戻りしようとしたところで後ろから勢いよく下り坂を下りてきた自転車のハンドルが私の腰の辺りに接触し、バランスを失った自転車は派手に横転。乗っていた若い男性は横転の際に地面に手をついて捻ったらしく、イタイイタイと言っている。私は自分が犬を見ようと急に立ち止まったことがいけなかったと思い、「急に立ち止まってすみません、大丈夫ですか」と転んだ男性に声をかける。男性も私に謝るが、とにかく痛いらしく、「救急車を呼んでくれ」と頼んでくる。救急車を呼ぶのは生まれて初めてだ。男性は有名私大の刺繍入りのリュックを背負い、ユニフォーム姿で、何かの練習帰りだったのかもしれない。乗っていた自転車も高そうである。男性はハンズフリーで父親に電話をかけ、状況を説明している。父親は説明を聞いて「どっちが悪いの!?」と聞いているが、男性は「たぶん俺」と答えている。私は何か未来を嘱望されるような運動選手の体を傷つけてしまったのではないか、父親が駆けつけて息子をどうしてくれるんだと迫られたらどうしようと怖くなってくる。
そうこうしていると救急車とともに警察までやってきて、状況を聞かれる。男性が救急車に乗って去った後はさらに交通事故調査専門のワゴンタイプのパトカーまでやってきて私ひとりがまた取り調べ。冷静に考えれば私はただ道路脇を歩いていただけで、少し立ち止まったところを後ろから走ってきた自転車が勝手に私にぶつかったわけなので、本来ならば私の方が被害者で、ケガをして救急車で運ばれたのも私だったかもしれないのだ。警察官にも救急隊員にも大丈夫かと私の体を心配されるが、鋼の体なのかどこも悪くないようである。私と自転車を運転していた男性双方の言い分を聞いた上で警察に「あなたに非はない」とジャッジされ、特に面倒な話に発展する様子もなく解放されて家に帰った。夫に「有望な運動選手だったのかもしれないのに、私が犬を見ようと立ち止まったせいで未来が閉ざされたかもしれない」と言ったら「歩行者をよけられないぐらいなら大した運動神経ではない」との回答を得たので、それはそうかもしれないと思い直した。今頃彼はどうしているだろうか。
肩こり
自転車に轢かれた影響なのか、数日後からどうしようもなく右肩が痛くなり、我慢できなくなってマッサージに行ってみる。初めて行くところだったが、『あたり』だったらしく、至福の揉みしだかれタイムの中に漂っているうちにあっという間にマッサージは終わった。支払い前にそのマッサージ師の女性に「体が冷凍庫に入っていたみたいにカチカチでした。そんな体では睡眠も浅くてすぐに目が覚めてしまうし、なかなか疲れもとれないと思います」と心配そうな顔で言われてしまう。マッサージのおかげで一時はましになった肩こりだったが、その後イラストの仕事が入り、仕事で絵を描く場合はどうしても肩に力が入ってしまうらしく、また肩こりがひどくなった。マッサージは高いのでそうしょっちゅうは通えないし、ストレッチをしてごまかしている。
暑い
7月の雨続きによる気圧攻撃もきつかったが、なんといっても8月に入ってから続くこの暑さが一番しんどい。特に昼間は若干意識が薄らいでいるような状態で、蜃気楼の中を亡霊になって彷徨っているような気持ちでいる。6月7月は少し出かけたりもしていたが、8月に入ってからはまた食料の買い出し以外ほとんど家から出なくなった。自粛生活が長引いてきたところにこの35度を超える暑さで、どんどん体力がなくなってきているようである。
というわけで、大したことはないけれどもそれなりに痛かったりつらかったりする今年の不調でした。早く涼しくなってくれ!!